ムラサキハナギンチャク

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F-90X 60mm RDPU 大瀬崎



真核生物上界 動物界 後生動物亜界 刺胞動物門 花虫綱 六放サンゴ(スナギンチャク)亜綱
 ハナギンチャク目 ハナギンチャク亜目 ハナギンチャク科 ハナギンチャク属


触手環: 30cm


学名: Ceriantbus filiformis


英名: 不詳

漢字名: 紫花巾着


相模湾以南、日本の西太平洋側、九州西岸に分布する。
湾内の砂泥底に生息する。

大型のイソギンチャクで大瀬崎の湾内では定番といってもいいくらいよく見かける。やや太い緑触手を持ち、色彩は変異しているものが多い。

ハナギンチャク類はイソギンチャク類に似ているが、六放サンゴ類のなかでは着生生活を放棄し、完全に砂や泥を利用し砂泥地へ進出した仲間である。イソギンチャク類の中にも砂泥底に生活するものがいるので、砂泥底の六放サンゴ類がすべてハナギンチャク類とは限らない。

ハナギンチャク類の下端は単純にすぼまっていて、末端に穴が1つ開いているだけである。体壁から多量の粘液を分泌する事によって、不規則な層状をした棲管と呼ばれる強靭な管を砂泥中につくり、その中に収まっている。体は比較的細長く、棲管は体の数倍の長さがあり、管の中では上下の移動が可能である。下端は何も接触していなくて、触手に触れると棲管の下の方へと素早く逃げていく。

体の中には多くの隔膜があるが、ほとんどの隔膜が上から3分の1のところに集まり、下方は広い空洞になっている。隔膜には体を上下方向に縮める縦走筋という筋肉は少なく、その代わりに体壁中に縦走筋は発達している。

ハナギンチャク目の幼生はプラヌラ幼生といい、他の花虫類のように着底してから変態するのではなく、プランクトン生活のまま変態する。浮遊幼生はかなり長い浮遊生活をする事が知られている。

ムラサキハナギンチャクの根元、体壁の近くにはイソギンチャクを隠蓑にしている小動物が結構いる。マルガザミ、ソバガラガニ、ヤドカリ等、観察してみると面白い。