キュウセン

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F-90X 60mm RVP 越前



真核生物上界 動物界 後生動物亜界 脊索動物門 脊椎動物亜門 顎口上綱 条鰭綱 新鰭亜綱
 スズキ目 ベラ亜目 ベラ科 カンムリベラ亜科 パラユリス属


全長: 30cm


学名: Halichoeres poecilopterus


英名: Multicolorfin rainbowfish (Multicolor = 多色の fin = 鰭 rainbow = 虹)

漢字名: 求仙、九仙


地方名: ベラ、アオベラ、アカベラ、シマメグリ(青森)
モクズ(富山)
アヲベロ(和歌山)
アオギザミ(岡山、広島)
ベリ(高知)
クサビ(福岡)
モバミ(鹿児島)

沖縄を除く函館以南の日本各地、朝鮮半島、シナ海に分布する。日本では瀬戸内海に多い。
内湾性で転石の多い砂地や岩礁域の海底近くを遊泳する。

雄(写真上)は「アオベラ」とも呼ばれ、体全体の青みが強く、胸鰭のすぐ後ろに黒斑がある。雌(写真下)はやや小型で、体色は赤味を帯びていて「アカベラ」とも呼ばれる。明治末期までは雌雄を別種として「アオベラ」「アカベラ」と呼ばれ扱われていた。

歯は多くが犬歯状になっている。

ベラ類は横になって眠ることが知られている。夕方になると頭部を上にして、砂地に浅く潜る。

産卵期は6月〜11月である。

ベラ類は雌から雄に性転換する。産まれながらに雄のいる種類と、初めは雄が一匹もいない種類がある。キュウセンは産まれながらに雄のいる種類である。この種類は他にササノハベラやカミナリベラがある。

初めから雄がいても性転換する雌がいる。初めから雄として産まれた雄(一次雄)と雌から性転換する雄(二次雄)の繁殖行動は複雑である。二次雄とは群れの中でも大型の雌が性転換したもので、一次雄よりも大きく力も強い。これは産卵時に雌を選ぶときに影響する。雌を独占して産卵できるのは二次雄だけである。一次雄は徒党を組んで一匹の雌と産卵するか、二次雄の産卵行動にまぎれて放精するしかない。

和名の由来は、雌の体側に赤色の縦帯と赤点縦列が合わせて9本あることによる。キュウセンという神奈川県三浦地方の地方名を和名とした。

食用になり、関西では高級魚として扱われる。旬は夏で、体色がよく、つやがあり、体に張りのあるものが良い。ベラは身が柔らかすぎるといわれるが、煮物にはさっと焼いてから煮つけると身がしまって味がよくなる。

釣りでは磯釣り、波止釣りなどで釣れる。関東では毒々しい体色から外道とされる。瀬戸内海では専門に狙う釣り人もいる。餌はイソメ類、エビ類、イカの短冊、岩に付着している二枚貝の剥き身など何でもよい。1尾釣れると、2尾、3尾と続けて釣れることがある。

ダイビングでは、砂地でフィンに巻き上げられた砂の中から小動物を漁りに来る様子が見られる。