コブシメ

F-801 28-70mm REALA マブール F-801 28-70mm REALA マブール F-801 28-70mm REALA マブール 写真をクリックすると
高画質でご覧いただけます。
F-801 28-70mm REALA マブール F-801 28-70mm REALA マブール F-801 28-70mm REALA マブール
F-801 28-70mm REALA マブール F-801 28-70mm REALA マブール



真核生物上界 動物界 後生動物亜界 軟体動物門 貝殻亜門 頭足綱
 十腕形目 コウイカ科 コウイカ属 セピア亜属


外套長: 50cm


学名: Sepia latimanus


英名: Giant cuttlefish (Giant = 巨大な cuttlefish = イカ)
Broadclub cuttlefish (Broad = 広い club = こん棒)

漢字名: 不詳


地方名: クブシミ(沖縄)

奄美諸島以南、西太平洋に分布する。
熱帯のサンゴ礁域に生息する。

外套長は50cmを超え、体重は12kgに達するコウイカ類では最大の種である。鰭の背面は濃い紫褐色の地で、白く小さい斑紋がある。鰭と腕に明瞭な横縞がある。蝕腕頭が広く半月形をしている。

コウイカは胴が楕円形の袋状で、中に石灰質の「イカの甲」を持っているところから甲イカと言われる。コウイカは世界に120種、日本だけにも20種程確認されている。イカの甲を英語でカトルボーンといい、その甲を持つコウイカ類をカトルフィッシュという。

コブシメは一夫一妻であると言われる。ペアでコブシメが見られるのは秋の終りから春先で、昼夜の区別無く交接する。

コブシメは通常、雄と雌、または雌同士では争う事がないが、雄同士では必ず激しい闘争をする。体の模様を白と黒の縞模様にし、腕を斜め下に伸ばして威嚇し、相手を追い払おうとする。ダイバーにさえも威嚇のポーズをとってくることがある。

コブシメは白と黒の縞模様を嫌い、この模様を見るだけで萎縮してしまうほどである。自らの体を縞模様にし相手を威嚇するが、これはコブシメが嫌うゼブラウツボに似せていると言う説もある。

コブシメの交接は雄と雌が腕を絡ませて、緩やかに前後に動きながらホバリングしながら行われる。雄から雌に精莢(せいきょう)と呼ばれる精子の入ったカプセルが渡される。交接中の雌は目を閉じたりしているが、雄は周囲の雄を絶えず警戒している。交接中にライバルが現われて、交接中の雌雄を引き離す事もあるからだ。

雌はサンゴの枝の間に注意深く1つずつ卵を産み付けていく。卵はピンポン玉より少し小さい直径約2.5cmの先端がやや尖った球形で、乳白色である。一度に100〜200個産み、約2ヶ月で1000〜1500個の卵を産む。産み付けている間も雄は雌の背後でホバリングしながら見守っている。

産卵から80日ほどたった夜明けに孵化が始る。孵化間近の卵に強い光を当てると孵化することから、孵化の誘因の1つに光の刺激があることが推測される。孵化した赤ちゃんは胴長1cmを超えるイカ類では最大の赤ちゃんである。浅いところで孵化したコブシメは深場に移動し成長する。

コブシメの寿命は1年か2年で数回産卵した親は役目を終えて死んでしまう。冬から春にかけて、死んだコブシメが波間を漂っているのを見かける。

コブシメの食性は動物食で生きた魚やエビ・カニなどを食べる。餌は食腕と呼ばれる腕を素早く伸ばし捕まえる。捕まえた餌は他の腕で覆い隠し食べるが、大きい魚などを捕まえた時などは他のコブシメが横取りに来る事があり、奪い合って食べているうちに相手の腕まで食べてしまう事もある。

食用となり刺し身、汁物、燻製などにして美味しい。また、コウイカの甲は喘息の薬にもなる。2・3日日干しにしてカラカラにしたものを、出来るだけ細かい粉末にし、5〜10グラム程度、一日3回食後に飲むと喘息が治まる。さらにこの粉は止血作用があり、外傷出血にも効く。胃潰瘍や十二指腸潰瘍にも飲むと効果がある。副作用のない自然療法なのでお試しあれ。