オオナガレカンザシ

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真核生物上界 動物界 後生動物亜界 環形動物門 多毛綱
 ケヤリムシ目 カンザシゴカイ科 ナガレカンザシ属


鰓冠直径: 7cm


学名: Protula (Philippiprotula) magnifica


英名: 不詳

漢字名: 大流簪


多毛綱は現在24目90科ほどに分けられているが、そのうち日本では12目60科が知られている。種類数ではなんと世界で約8000種もいる。日本では900種ほどが報告されている。

ケヤリムシ目にはカオバンギ科、ケヤリムシ科、カンザシゴカイ科、ウズマキゴカイ科の4科が含まれている。

その中のカンザシゴカイ科は、世界で50属350種が知られており、日本でも60種ほどが確認済みである。

体は鰓冠部、7剛毛節の胸部、多くの体節の腹部からなる。

鰓冠はラッパ状に広がった鰓軸からなり、何重にも重なっている。各鰓軸からは、繊毛が生えている多くの鰓糸を左右に出して羽状になっている。繊毛の動きで水の流れを起こし、浮遊物などの餌をとる。水の流れは下から上に向かう。

鰓冠の背面にある1本の殻柄の先端に様々な形の殻蓋(カクガイ)を作る。

体の胸部前方に襟と呼ばれる薄い膜があり、この襟の下に石灰質を分泌する一対の大きな石灰質分泌線が開いている。襟は後方へ折れ曲がって棲管の縁を覆い、石灰質の分泌液を棲管の端に付け加えていく。

呼吸は主に皮膚を通じて行う皮膚呼吸である。鰓冠のすべての鰓軸内に血管が通っていて、皮膚を通じてガス交換が行われる。鰓冠は新しい海水と接していてすぐれた呼吸器官であるが、外敵にもぎ取られる危険もある。

鰓冠は光や影、少しの振動にも敏感に反応して、素早く棲管内に引っ込んでしまう。これは鰓冠全体に感光細胞が散らばっているからで、ケヤリムシ目の中には、鰓軸の先端に眼点を持つものや、鰓軸にそって眼点を持つものなどもいる。敏感に反応するために鰓冠内を走っている神経繊維は非常に太くなっている。引っ込んでしまうとその後で殻蓋によって蓋をする。

鰓軸の中央部は溝状になっていて、鰓糸の繊毛運動で集められた浮遊物は、この溝を通って口に運ばれる。溝はV字状になっていて、溝を通る大きさの餌しか運ばれないようになっている。

雌雄異体で体外受精が行われる。外見では雌雄の区別はつかず、成熟して腹部に充満した精子や卵子の色で判断する。

飼育は容易だが、給餌は必要である。市販の液状フードか、むきエビをミンチにした時に出る汁を水流に乗せて与える。棲管の成長のために市販のカルシウム剤の添加もよい。環境が悪化すると、自分から鰓冠を切り離す自切をする場合がある。鰓冠はやがて再生するが、以前よりも色が悪かったり、小さくなったりするので、水質には注意が必要だ。