クロテナマコ

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真核生物上界 動物界 後生動物亜界 棘皮動物門 有棘動物亜門 ナマコ綱 楯手亜綱
 楯手目 クロナマコ科 ジャノメナマコ属


体長: 40cm


学名: Bohadschia graeffei


英名: Graffiti sea cucumber (Graffiti = 落書き cucumber = きゅうり)

漢字名: 黒手海鼠


別名: オハグロナマコ

沖縄以南、紅海、モルディブ諸島、東南アジア、南太平洋などインド洋の一部と太平洋の熱帯域のほとんどに分布する。
砂礫や岩の上に生息し、比較的浅海で多く見られる。

体はほぼ円筒形で、前部下方に触手がある。腹面は管足で覆われ、背面には疣足がある。体壁は櫓状骨片の変形した塔状の骨片がある。体色は白色または灰白色地に褐色斑が縦に並び、更に小さな暗褐色斑が点在する。触手は先端が白く、その他は黒い。黒手と言われる由縁である。

疣足とは多くのナマコ類の体表に見られる管足以外の突起物で、先の尖ったものや疣状のものがある。管足と起源が同じなので「足」となっているが、先端に吸盤はなく、足として使われる事は稀である。

海底を這い回りながら口の回りの触手で砂、泥、海藻の細片などを口に取り込み、その中の有機養分を吸収する。大量の底土を取り入れるのでナマコ類の底質浄化能力は大きい。

クロテナマコの放精、放卵は半身を鎌首のように持ち上げ、体を揺らしながらする。生殖巣は頭背部にあるため、頭部から放精、放卵しているように見える。受精卵は十数時間で孵化し、四十時間でナマコ類に特徴的なアウリクラリア幼生に変態する。アウリクラリア幼生は繊毛によって遊泳しながら漏斗状の口に入ってくる餌を集め取り込む。体長1mmほどに成長するとドリオラリア幼生に変態する。ドリオラリア幼生は繊毛環をもち、モールを巻き付けたビール樽のような姿である。ドリオラリア幼生は1〜2日で繊毛を消失して底に着き、ペンタクチュラ幼生となる。着底した幼生は再び遊泳する事は無い。ペンタクチュラ幼生は5本の一次触手と体後部に管足をもつ。成長するに従い二次触手と管足が増え、稚ナマコとなる。クロテナマコの稚ナマコはタテヒダイボウミウシに隠蔽擬態しており、捕食者から身を守っている。

ナマコ類のマナマコ以外のいくつかの種は体内にキュヴィエ器官を持っている。この器官はナマコが外から強い刺激を受けると、肛門を刺激の方向に向け放出される。体外に出たキュヴィエ器官は強い粘着力を持ち、対象物に絡み付いて運動能力を奪う。ホロツリンなどの毒素を含む事もある。