ホウボウ

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真核生物上界 動物界 後生動物亜界 脊索動物門 脊椎動物亜門 顎口上綱 条鰭綱 新鰭亜綱
 カサゴ目 カサゴ亜目 ホウボウ科 ホウボウ亜科 ホウボウ属


全長: 40cm


学名: Chelidonichthys spinosus


英名: Bluefin searobin (Bluefin = 青い鰭の searobin = 海のコマドリ)
Gurnard(Gurnard = ホウボウ、カナガシラ)

中国名: 緑鰭魚

漢字名: 魴鮄


地方名: キミオ(青森)
ドコ(秋田)
ホウホウ(富山)
キミウオ、キミヨ(北陸)
コト(鳥取)
コウボウ(広島県賀茂郡)
ウンブ、キンツ(有明海)
ホコノハ(鹿児島)

北海道南部以南、黄海、東シナ海、南シナ海、南アフリカ、オーストラリアに分布する。
沿岸浅所がら水深600mまでの砂泥底や砂底に生息する。
冬は南下し、春から夏にかけて北上する。

体色は、体上半部が灰褐色の地に不規則な赤色班が広がり、体下半部は白色である。
背びれと尾びれに赤色班がある。
胸びれは縁辺が青色で中が濃い青緑色、青色の小斑紋が散在し、美しい。
頭部は四角くかたい。

胸びれ下部にある3本の棘条は遊離して指状になり、これを使って砂泥中の甲殻類やゴカイ類を探して食べる。
この3対の軟条は足の役目をはたしていて、探知機でもある。
海底を器用に探りながら砂を掘ったり、小石くらいならひっくり返して餌を探す。
軽く触れればその正体から味までわかるのである。
ただし、味は味覚中枢である延髄からの脳神経が分布していないので、ある種のアミノ酸が分かる程度である。

産卵期は春から夏頃で、卵は1.2mm程度の浮遊卵でバラバラのまま海面を漂う。
仔稚魚は浮遊生活をするが、全長2cmを超えると胸びれの下部軟条が遊離し、やがて着底生活となる。
稚魚は全身が黒っぽく、胸びれや背びれも黒っぽい。
1年で約12cm、3年で20cm、5年で30cmほどに成長する。 成長するにしたがって深い海底に移動する。
大陸棚の水深100〜200mくらいに多く生息する。

和名の由来は姿がカナガシラを髣髴(ほうふつ)とさせることから「魴鮄」と書いて読ませたという説。
ホホホネウヲ(頬骨魚)から来たという説。
ボウが魚名語尾であることから、餌を求めて海底を這う姿を「這う魚」(はうさかな)ハウボウ→ホウボウとなったという説。
鰾(うきぶくろ)で「ボーボー」と音を発することができるため、この音からきたという説。 頭の形が角張っているところから「方頭、方帽」となったという説など諸説ある。

英名の Gurnard の語源もこの音から来たもので、「文句を言うやつ」という意味である。
Searobin も「海のコマドリ」という意味で、鳴くところからきている。

鳴くといっても発声器官があるのではなく、大きくて丈夫な鰾(うきぶくろ)の壁を特殊な随意筋で振動させて音を出すのである。一種の警戒音という説とラブコールだという説がある。

新潟地方ではホウボウをキミヨ(君魚)と呼んでいるが、それはかつて藩主がホウボウを好んで食べたことから、この魚を敬って呼んでいたものが残っているからである。

赤い体色と、鎧兜を付けた武士を連想させる姿から、タイと同様にめでたい魚とされ、祝い事に使われる。「お箸初め」の儀式に用いられる尾頭付きの魚の一つ。

専門の漁は行われていないが、底曳網などにかかることが多く、高級魚として取引される。
旬は冬で12月から4月の雪の降っている間が、脂がのって最高に美味とされる。

料理では、体の赤みが鮮やかなもの、ぬめりが透明なもの、腹の色が白くて引き締まっているものを選ぶ。
肉質は白身で、たんぱく質を多く含む。
淡泊な味を生かして、塩焼きや薄味の煮つけ、椀だね、かまぼこなどに利用する。
また、良い味が出るのでぶつ切りにしてちり鍋やブイヤベースにする。
新鮮で大ぶりのものは刺身でも美味しい。