アイゴ

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真核生物 動物界 後生動物亜界 脊索動物門 脊椎動物亜門 顎口上綱 条鰭綱 新鰭亜綱
 スズキ目 ニザダイ亜目 アイゴ科 アイゴ属 Siganus亜属


全長: 30cm


学名: Siganus fuscescens


英名: Dusky spinefoot (Dusky = 薄暗い spine = とげ、とげ状突起)
Fuscous spinefoot (Fuscous = 灰色がかった暗褐色の、黒ずんだ、くすんだ)
Rabbit fish (Rabbit = ウサギ)
Slimy (Slimy = どろ、どろのような、ねばねばした)

漢字名: 阿乙呉、藍子


中国名: 褐藍子魚


地方名: ネションベン(静岡県伊東)
イタダイ(富山県氷見)
アイノバリ(和歌山)
モアイ(広島)
アエ(高知)
アイノウオ(島根、福岡)
ヤナギウオ(熊本県八代)
イエー(沖縄)

岩手県以南、インド洋、西太平洋域の暖海に広く分布する。
沿岸の浅海岩礁域に群棲する。

側扁していて、体高は高く卵形である。
尾鰭は湾入している。
体色は黄緑色で、白色斑が散在し、興奮すると体色が急変する。
表面は細かく薄い円鱗といわれる鱗に覆われているが、実際触るとツルツルしている。

背鰭の13本、尻鰭の7本、胸鰭の2本の棘の基部には毒腺があり、毒性はそれほど強くないが刺されるととても痛い。
尻鰭に棘条があるのはアイゴの特徴である。
刺されたときは熱いお湯に当て加熱することによって毒性が失われるが、完全に治るまでは2・3日かかる。

ダイビングで出会うアイゴは岩場で餌を突いているが、それは岩の表面に生えている海藻を食べているのである。
幼魚の頃は動物性プランクトンを食べているが、大きくなるに従ってケイソウ類や海藻の芽を食べるようになる。
アイゴが大量発生すると養殖のりの芽を食べてしまったりする被害が出ることがある。
藻類を主体とした雑食魚なのである。

海藻を食べる魚は内臓が匂うが、これは海藻が持つ忌避物質(他の藻や動物の付着を防ぐための物質)に臭み成分が含まれていて、これが魚に蓄積されるからである。

産卵期は夏で1cm〜1.5cm程の沈性粘着卵を生む。
生まれた卵は海底の藻などに付着しおおよそ27時間で孵化する。
生まれた稚魚は流れ藻などについて生活するが、2.5cmほどに成長すると流れ藻から離れて岩場の生活をする。

アイゴはカレイやカワハギと同様体色を変えることがある。
それは、アイゴ同士の優劣によって変わったり、警戒色として変化したりする。

アイゴの名前の由来は、アイヌ語でイラクサ(棘がある草)をいう「アイ」に、魚の意味の「ゴ」が付いたからだと言われている。

食用となり、釣りや定置網で漁獲っされる。
餌にしている海藻の種類によるが、地方によって「アイゴの皿ねぶり」と言われるほど美味しいところと、磯臭いといってあまり好まれないところがあるようだ。
料理法としては油炒め、煮つけ、塩焼き、干物などにする。
新鮮なものは刺身にしても美味しい。
成魚より幼魚がうまいとされる。
沖縄では群れをなして海岸に来る幼魚を網ですくって、それを1年かけて熟成発酵させて食べている。
有名なスクガラスである。
沖縄の言葉でアイゴの稚魚を「スク」、塩漬けを「カラス」と言う。
食べなれない人にはかなり塩辛いようだが、沖縄では珍重されている。

釣りではメジナ釣りの外道扱いされることもある。
アイゴは口が小さいので、あたりはウキがほんの少し沈む程度とされる。
引きの強さはメジナに匹敵する。
餌はオキアミが一般的だが、和歌山県では酒粕で釣るらしい。